スポーツの世界で最も感動する瞬間とは、格下のチームが格上のチームを倒す「GIANT KILLING」が起こった時ではないだろうか。
これを起こすにはいくつかの条件が必要であり、その歯車がうまく噛み合ないと成し得ることができない。
一部下位校として定着しつつあるものの、上の舞台を目指す成蹊に、こんなにもぴったりのスローガンは他にないと思う。
だからこそ、キックオフミーティングでのスローガン決めの際は3年間連続でGIANT KILLINGを提案し続けた。
決まったときは素直に嬉しかったし、GKの合言葉がチーム内だけでなく、他大学にも浸透しつつあることに、少し誇らしさを感じている。
最初に、GIANT KILLINGには条件が必要であるといったが、その中の一つとして日本一の選手の存在が必要であると考える。自分は「日本一の選手」として、目標達成のための一端を担いたい。
今年のチームの目標は学生日本一だ。
一年の時から、史上最強の代というテーマを掲げていて、自分たちの代で日本一を目指すことは決めていた。
日本一の育成をしてもらった自分たちにとって、もはや使命であるかのようにも感じていた。
だから、自分は一年生の頃から「日本一の選手」を目指して練習して来た。 他人に話したら笑われる目標かもしれないけど、本気で目指し続けてきた。
敵の戦略や実力、味方の調子、その他諸々の不確定要素なんて全て度外視して、自分が出ればチームが勝てる。
どんな状況でも目の前の敵を抜き、どんな相手でも体負けせず、どんな遠い距離からでもシュートを決めて日本一に導く。
それが自分の中での日本一の選手。 チームの目標である学生日本一を達成するには欠かすことのできない存在だと思う。
現状達成はできていない。 早稲田戦は自分のせいで負けた。 これから残り少ない学生生活で達成できるかもわからない。
それでも自分を信じ続けたい。 自分の学生生活には、最初から最後までラクロスしかないから。
悔しい思いはたくさんしたけど、辛いと思うことなんて一つもなかった。 「日本一の選手」のイメージは、常に自分を奮い立たせてくれた。 どんなことを犠牲にしてでも、この目標に向かって努力し続けたことに、後悔はない。
相手は慶應。未だ嘗て成蹊が勝ったことはない。 勝った方がFINAL4。 負けたら引退の日が決まる。
日本一になるための通過点として負けるわけにはいかない。
不思議と緊張はあまりないし、不安もない。 GIANT KILLINGを起こして、涙を流しながら校歌を歌っているイメージは脳裏に浮かんでいる。
どんな時でも信じてパスをくれたグラウンドで戦う後輩、同期。
スタンドで応援してくれてるプレーヤーマネージャーOBの方々。
チーム全体のことを誰よりも親身に考えて指導していただいたコーチ。
この代まで一部を繋いでくれたもりさん、くらさん、みやしょーさんの代の先輩達。
喧嘩はたくさんしたけど、最後までサポートしてくれた家族。
背負える期待は全て背負って、グラウンドで恩返ししたい。
そして、また一つ「日本一の選手」へと成長できる試合にする。
#99 金井涼太

